「チャーリーとチョコレート工場」 バートン版
おことわり:記憶の中からですので、間違っている可能性はあります。
また、英語は適当ですので、間違いなどはごかんべんあれ〜(もちろん、ご指摘は賜ります)
なお、無断掲載をお断りします。
雪のとある町。
高い煙突のある、巨大な工場。煙突から入り込むと、さまざまな機械が、チョコレートを作っている。機械がどんどんチョコレートを包んでいく。そこに、5枚の金色のカードを差し込んでいく、紫の手袋をつけた、手。
まだ暗いうちに、あちこちへ去っていくトラック。トラックの横腹にはウォンカ、と書いてある。世界中に、チョコレートを送り出しているのだ。
チャーリーの家はとても貧しい。町外れの、傾いた家に住んでいる。家にはひとつのベッドに寝ている4人の老人。母親と、父親の両親たちだ。
“Evening, Buckets!”
父親が帰ってきた。
「スープができてるけど・・・何かいれるものある?」
「・・・・」
「いいわ、キャベツ入れるから」
「チャーリー、ホラ、おみやげ」
と父親が差し出したのは、できの悪い、くずれた栓。
「ありがとう、これ、ちょうど欲しかった形だ! これでウォンカ工場長のできあがりだ!」
チャーリーは、形の悪い栓で、まっしろなチョコレート工場の模型を作っているのだ。
父親は歯磨き工場で、歯磨きに栓をつける仕事をしている。だが、たいした稼ぎじゃあない。食事はいつもスープにキャベツ。それでもできの悪い栓があると、チャーリーのおみやげになる。今日は、これで、ついに、ウィリー・ウォンカ工場長のできあがりだ。
「ウォンカさんそのものだねえ」
「本当?グランパジョー、知ってるの?」
「もちろん、ウォンカさんのところで私は働いていたんだよ」
「はじめて聞いたよ」
「おや、話したことなかったかい?わしとしたことが・・・」
「チャーリーに、インドの話をしておやりよ」
工場やウィリー・ウォンカ工場長のことを知っているおじいさんは、チャーリーに、インドでの冒険話などを話して聞かせる。ウィリー・ウォンカは、王子のためにチョコレートで巨大な城を作り上げたのだ。もちろん、食べたがらなかった王子は、溶けたチョコレートの海の中・・・。
「ワタシは、ウォンカの最初の店で働いていたんだ。」
交差点のかどに、ウォンカは最初の店を出したのだ。
「ウォンカさん、ウォンカチョコレートと、鳥のチョコレートが、もうありません」
「ァ、そう・? 鳥、鳥・・・と、はいこれ」
とウォンカが従業員のジョーの口に入れたのは、小さなたまご型のチョコレート。
「口をあけてごらん」
そこには、ちいさなチョコレートのトリが羽ばたいていた。
「素晴らしい工場だった。できるもんなら、もう一度行って中を見てみたいもんだ・・・・」
ウィリー・ウォンカの工場は、長年しまったままだ。工場長の発明する素敵なお菓子のお陰で昔は流行っていたが、嫉妬した他の菓子屋にスパイされ秘密を盗まれて、傾いた。そして、従業員は解雇され、工場は閉ざされたまま。ウィリー・ウォンカの最初の店で働いていたチャーリーのおじいさんのひとりグランパジョーも、それで仕事を失った。
“I’m closing the factory forever……..I’m sorry”
しかし、5年後のある日、工場から煙が上がった。“He‘s coming back in bisiness”
「じゃあ、おじいちゃんも、仕事に戻ったの?」
“no”
誰も仕事には戻らなかった。
「良く考えてごらん、誰か工場長から出てきたのを見たことがあったかい?」
「・・・・ない。」
今、工場は動いているが、誰も人影を見ないし、大きな入り口の柵は閉まったまま。トラックだけが出入りし、商品は全世界に(東京にも)売り出されているのだった。
「さあ、もう寝なさい」
チャーリーは、ウォンカチョコレートの包み紙や、工場の絵を張ってある、粗末な2階へ戻るのだった。
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寒い朝、工場から電動つき自転車ででてきた人影が、ポスターを貼っていった。
「ウィリー・ウォンカ工場長が、5人の幸運な子供を、工場見学にご招待!」
全世界のチョコレートの中に、たった5枚、金のカードが入っているというのだ。そして5人の中からさらにひとりには特別賞がある、という。
目をかがやかすチャーリーに、グランパジョージは何となく冷たい。
「こんなものは、毎日チョコレートを山のように食べている子がみつけるもんさ。お前にはチャンスはないな」
「不可能なことはないんだよ」
Nothing
is impossible, Charlie
時にとんちんかんな返事を返してくるジョージアおばあちゃんは、チャーリーに、優しい。
5枚の金券のせいで、世の中は狂乱していた。トウキョウ、マロック、ニューヨーク・・・
「こんなもん、見つけるやつは、でぶでぶのでぶっちょにきまっとる」
と言うジョージおじいさんの言うとおり、最初にカードをみつけたのは、ドイツの肉屋の息子。
ひとり目は、太っちょで食べてばかりのアウグストゥス。
「ウォンカチョコレートを食べていたら、何か口に当たったんだ。アーモンドかな?ヌガーかなあ?と思ってよく見たら、金券だった」
と、ひとくちかじって、チョコレートを食べながら、千切れた金券を差し出した。
二人目は、お金持ちの超わがまま娘、イギリスのお嬢様ベルーカ。フランスのテレビも撮影に来ているようだ。
「パパ、私あのチケットが欲しいの!」
「私には、この子が苦しむのを見てられなかったんですよ。ピーナッツ工場を経営しているので、従業員たちに何万、何億というウォンカ印のチョコレートをあけさせました。」
工場には何百人もの従業員。ピーナッツのかわりにチョコレートを剥いた。山のようになったチョコレートの包み紙の中から、こうして幸運のチケットをみつけだしたわけ。
ほらベルカ、と差し出したチケットを受け取った彼女は「パパ、もう一頭、ポニーを買って」
「この子は自分でさがしたんじゃないんだ、ずるいね」とチャーリー。
「こんな育て方をしていたら、ろくなことにならん。この親は、愛情を与えとらん。」
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貧しいチャーリーは、毎年誕生日のプレゼントに、ウォンカ印のチョコレートをもらうことになっている。来週が誕生日だ。でも、今年はちょっと早めに、両親は誕生日を祝うことにする。どきどきしながらチョコレートを開けるチャーリー。見守る家族・・・
「金のカードがなくても、がっかりするんじゃないよ」「チャンスなんかないよ」「いいや、カードはなくても、チョコレートがあるじゃないか!」
もちろん、だめ。
「これ、みんなで分けようよ」
「だめだ、お前の大切な誕生日プレゼントじゃないか」
「じゃあ、僕のものでしょう?僕の好きにしていいよね。はい、食べてよ」と、家族にチョコレートを分けあうチャーリー。誰もが、大切に味わった。
朝。
「パパ、仕事に行かないの?」
「ちょっと休みでね」
本当は機械化により、解雇されてしまったのだ。
3人目は、アトランタの、勝つことにばかり興味があるヴァイオレット。チューインガム大好きで、チューインガムのチャンピオン。母親も勝負に夢中。
「あんたが勝つのよ、ヴァイオレット」
4人目は、コロラドのマイク・ティービー(その名も)は、取材陣が家に来てもテレビゲームに「コロセ殺せ、それ行け!」と夢中になっている。(原作では、テレビばかり見ていて、ガンを体中にくっつけてる。)
「製造日を調べて、天気の変動で調整するだろ。それから、ニッケイの株変動を調べる。それでチケットを見つけた。だれにだってできるよ」
「いやはや、この子の言っていることは、私にはもはやわかりません」と父親。
「何味のチョコレートでしたか?」
「覚えてないよ、僕、チョコレートなんて嫌いだからさ」
「この子は、もうあまり長いこと、子供では、いないでしょうね」とため息をつくマイクの父親。
「なんだ、とんでもない、こんな・・・・・・」
ジョージおじいさんのあまりの憤慨に、チャーリーの父親は、チャーリーの耳をふさいだ。
とうとう・・・・・・残るは、ただ一枚のカードになってしまった。
「チャーリー!!」
皆が寝ている中、グランパージジョーは、チャーリーに硬貨を差し出す。
「お前とワシで、もう一度、賭けよう」
「本当にいいの?」
「ああ・・・
「本当にいい子だ、good boy …..」
「グランパジョー!」
いつの間にか居眠りをしていたジョー。ふたりで「バンドエイドのように」一気に包みを破ると・・・何もなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
白く寒い中、チョコレート工場から、いい香りがする。チャーリーがすれ違った男たちが、例のカードのうわさをしていた。
「5人目がみつかったそうですね」
「ええ、ロシアでらしいですよ。」
雪の中、チャーリーは、落ちている紙幣をみつけた。最寄の小さな店に飛び込む。
「まあ、ロシアの券はニセモノなんですって!」と新聞を読んだ大人たち。
「ウォンカチョコレート下さい」
「ほいきた」
チャーリーがその場であけると・・・・・・最後の券が見つかった。
店のおじさんも、大喜び!ところが、
「私にゆずってくれ、50ドルと、新品の自転車をあげる」
「いえ、何言ってるの、私は500ドルあげます!」と店の中にいた大人たちが騒ぎ出す。
「とにかく家に帰るんだ、誰にも取られるんじゃないぞ」
と、店のおじさんに促され、チャーリーは、駆け足で家に戻る。
「みつかった、5人目は僕だ!」
あまりの喜びに、ずっと寝ていたはずのグランパジョーは、踊りだしてしまった。「ホラ、読んで読んで!!」
「エエと・・・私ウィリー・ウォンカは、5人の幸運な子供たちを工場見学にご招待します。ご父兄の方一人と、2月1日に10時に、門の前においで下さい」
「2月1日・・・」
「明日じゃないの!!」
「ホラ、チャーリー、顔を洗って、手もきれいにして、それから・・・」
と騒ぎ立てる皆。
「ちょっと待って、落ち着いて!誰がチャーリーと一緒に行くの!?」
「ワタシだ!」
といったのは、もちろんグランパジョーだ。
「そうね、元気そうだし・・・」
皆が騒然とする中、チャーリーが突然口を開いた。「僕、やっぱり行くのをやめる」
「お金をくれる人がいるんだよ。チョコレート工場より、今はお金の方が必要でしょ。」
沈黙の中、ジョージアおじいさんがチャーリーに話しかけた。「ちょっとこっちへ来い」
「馬鹿いうんじゃない、お金はいくらでも印刷されてるが、この券は5枚しかこの世にないんだよ! お前はそんなに馬鹿なのかい!」
“NO,Sir” いいえ・・・
「じゃあ、早くズボンを直すんだ!」
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そして、2月1日の朝になった。
母親あるいは父親に付き添われ、チャーリー以外は着飾った子どもたちが集まった。
「早く入りたい!」「まだ9時59分だよ」
「パパ、時間を早く進めて!」と、わがままベルカ。
10時、大きなサクが開くと、声が響き渡る
“please, enter”「お入りなさい」と、工場長の・・・
“close the gate“
アナウンスが続く。すばらしい工場へようこそ・・・
“and who am I ?”
と言う声に続いてあらわれたのは、セルロイド人形の細工だった。ウィリー・ウォンカをたたえる音楽にあわせて回り、踊る人形。
真ん中には、ウォンカ、と書かれた、真っ赤な豪華なイス。最後にあちこちであがった花火が、人形に引火して、セルロイドが溶けていく・・・・
・・・人形の目玉が、どろりと滑って落ちる・・・
呆然としている皆の横に
「ブラボー!!やったやった、素晴らしい!!!」
と、はしゃぐ者がいた。
「あなただれ?」
「ウォンカ工場だよ」とグランパジョーが答えた。
それが、真っ黒なグラスをかけた工場長だった。
「あら、どうして舞台にいないのよ」とベルカ。
「ここの方が舞台が良く見えるじゃないか。よかったよかった、最後がうまく行った!」
挨拶向上をしようとするが、どうもつかえるウォンカ。しかたなくカードを見ながら
「Good morning starshine、the
earth says hello!!」
良く来てくれました、子どもたちと、その・・・そ、その・・・ぷ、ぷ・・・p・・・p..
「Parents?」
「yes・・・、mams
et daddys
.・・フン」
ウォンカの、ベルカの父を見つめる目が何かいいたげだ。
「ウォンカさん、覚えてはいないでしょうが、私は昔あなたのところで働いていたんですよ」と切り出したグランパジョーに、ウォンカは、厳しい目を向ける。
「きみは。私の仕事を盗み見に送られてきたスパイの一人だったのかね?」
「いいえ、とんでもない」
「ならけっこう、よく来てくれました。perfect!」
「ずいぶん中は暑いですね」
「ええ、従業員の為です。上着はどこにでも脱いでいいですよ」
「従業員って誰ですか?」と尋ねるチャーリーに、「まあ、慌てないで」
突然、バイオレットが工場長に抱きついた。顔がひきつる工場長。
「私、バイオレット! よろしく」
「そう・・・別に・・・」 “I don‘t care...”
“you must care!”
「私が勝つんだから、よろしくね!」
ヴァイオレットをきっかけに、われ先に、自己紹介が続く。
「アウグストゥスです。ウォンカのチョコレート大好きです」と、チョコレートをむさぼりながら。
「そ、そのようだね」
「私がベルカです。」 nice to meet you, と礼儀正しいベルカ。
「ああ、ベルカね、それって、足のできもの名前かと思っていましたよ」
ふとウォンカは振り向くと「君はマイク・ティーヴィーだね。うちのシステムに入り込んだだろう。」
そしてチャーリーには「そして、最後の君は、幸運に恵まれて来たってわけだね。」
「君、チョコレート好きかい?」と、アウグストウスがチョコレートをかじりながらチャーリーに尋ねる。
「好きだよ」
「じゃあ、買って食べれば?」
少女ふたりはいつのまにか腕を組んでいる。
“Be best freiends!”
仲良くしましょうね、と入っているがどう見てもライバルどおし火花が散っている。
アリスに出てくるような小さな小さな扉に鍵を差し込むと、暑い工場内に入っていく。天然色。そこは、見渡す限りの美しい野原・・・チョコレートの巨大な滝。
「子どもたち、気を落ち着けて、冷静に・・・」
全員が見とれた。アウグスは、もっていたチョコレートを取り落とした。「ここにあるものは、全部食べられますよ。もちろん、私もね。ただし、それはカンニバルと言われて、社会では忌みきらわれていますがね。さあ、子どもたち、好きにあそびたまえ。」
「さあさあ、好きにしていいよ」
・・・なにやら言いたげな顔でウォンカをみているのはベルカの父。ウォンカも。
マイクはさっそく大きな実を蹴飛ばし、踏みつけ、破壊に走る。
「お前、止めないか」
「だって、工場長は遊べ、って行ったんだよ。He says enjoy!」
チャーリーがりんごを取ろうとすると、そのりんごを横取りする手があった。バイオレットは口から今かんでいる(3ヶ月間)ガムを取り出し耳の後ろにはりつけると、りんごをかじった。
「どうして新しいガムにしないの?」
「私はね、チュ−イングガムのチャンピオンなの、あんたみたいな負け犬じゃないのよ」
「みなさん!」
近づいてくる巨大なパイプの説明を工場長が始める。「あの機械は、チョコレートを吸い上げる機械です」
と突然、「小人がいる!」と叫ぶベルカ。
「あれが、ここの従業員、ウンパルンパです」
ウォンカは、ウンパルンパとの出会いを語り始める。
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新しい味を求めてジャングルに入ったウィリー・ウォンカは、何も見つけなかった代わり、この小人たちを見つけた。チョコレートの原料カカオが大好きなウンパルンパたちを、ウィリー・ウォンカは、手話で見事にチョコレート工場へ招待したのだ。
製造の秘密を、誰にも知られずに今日まで来たのは、そういう理由だったのだ。
「アウグストウス、そんなことしちゃいけません!」と悲鳴が上がった。
「ちょっと少年、このチョコレートは、人間がさわっちゃいけないんだ!」
食いしん坊アウグストゥスが、チョコの川をごくごくとのみだすうち・・・ドボン。 顔をそむける工場長。
「おぼれちゃう!どうしましょう」母親が騒いでも、救う手立てもない。そこへ、チョコレートを吸い上げる機械が近づいてくる。
ウンパルンパたちが、嬉しそうに歌い始める。ウィリー・ウォンカもうっとり聞きほれている・・・
ついに、子供は機械に飲まれて消えてしまう。
「どこへ行くんですか」
「ストロベリーチョコレートをつくる部屋です」
「チョコレートになっちゃうんですか!?」
「とんでもない、そんなまずいチョコレート、売りに出せませんよ!おなか壊しちゃうでしょう」太っちょの母親は小人に連れられて、息子を探しにチョコレート製造の部屋へ去っていく。
大勢のウンパルンパのこぐピンクの船に乗って、チョコの川に乗り出す全員。チャーリーの隣に座ったウィリー・ウォンカは、チャーリーとおじいさんに、チョコをひとすくい差し出す。「あなた方、おなかが空いて死にそうな顔をしていますからね」
「おいしい!」と目を輝かせるチャーリーに、またも嬉嬉として、チョコレートの味の秘密を語りだす工場長。「この、滝でミックスするというのが重要なんだ」
「それ、さっき、聞いたわ」と切り出したベルカに、工場長は冷たい目を向ける。
「ここからみると、小さいね君たちは」
「子供ですもの」
「私はそんなことなかったな」
「でも、子供の時があったんでしょう?」
チャーリーは、工場長に質問をした。
「自分の子供の時のことを覚えてるんですか?」
「ええ、覚えてますよ・・・」
Oh boy,,I do.....
・・・・・Do I?
実は、ウィリー・ウォンカは、長年そのことは考えなかったのだった。船の中で思い出がよぎる。
ウィリー・ウォンカの父親は、実は名の知れた厳格な歯医者。子供の時から頭より大きな矯正具をつけていたウイリー。そう、チョコもあめも、「絶対」食べさせてもらえなかったのだ。父親にとって、チョコや甘いものは「憎むべき敵」であった。ハローウインにせっかくもらったあめやチョコは、暖炉に投げ捨てられた・・・ことを思い出し、呆然とするウィリー・ウォンカ工場長。
「ウォンカさん、トンネルに入るよ!」チャーリーの声にウォンカは我に返る。
川のほとりには、いろんな種類のクリームの部屋が続く・・・「クリーム・フエテ」の部屋では、牝牛を一生懸命、鞭で打っている(crème fouette=泡立てクリーム、 fouetter=鞭打つこと)それが、一目でわかったチャーリー。
ヘアクリームの部屋も・・・「あら、ヘアクリームなんてどうするの?」
「髪をいたわるんですよ」(当然でしょ)
「おっと、そこで止まって!」
そこは、発明の部屋だった。
「さわらないように、見学だけしたまえ、触らないように」
いろんな研究中のお菓子があるのだった。毛の生えるお菓子も・・・
新発明のチューインガムに興味を持った、ガムのチャンピオン、ビオレット。
「食事ができるガムなんだ。食器がいらなくなる。ただ、それは、まだ完成していないんだが・・・」との工場長の声を最後まで聞かず、ビオレットがくちゃくちゃとかみ始める。ウィリー・ウォンカは機械の影に隠れてしまった。
「わーすっごいこれ!トマトスープでしょ、コーンビーフに・・・最後はブルーベリーパイだわ!!」
「ちょっと、あんたの鼻・・・青いわよ」
「どういうこと?」くちゃくちゃ。
と、見る間に全身が青くなっていく。しかも、丸く膨れだした。
「いやはや、いつもここがうまく行かないんだ。パイのときにね、20人のウンパルンパで試したんだが、みな青くなって膨れてしまうんだね」
と再び出てきた工場長。「いやあ、すまんね」って、あんまりすまなさそうでもない。
「ちょっとちょっと、どうしてくれるんですか〜」
「果物搾り機にかけてみましょう」
ウンパルンパも嬉しそう。
またもチャーリーが質問する。
「はじめて食べたチョコのこと、覚えていますか?」
「いや、覚えていないねえ」
・・・いや、彼はよーく覚えていた。ハローウインのあと、暖炉に捨てられ燃やされてしまったチョコやボンボンの中、ひとつだけ残っていたのを食べたのがはじまりだった。すっかり魅了された彼は、あちこちの飴やチョコを食べては、味の記録をとり始めたのだ。
・・・・・・・・
「大丈夫ですか、ウォンカさん?」
「いや、ちょっとフラッシュバックが・・・」
「よくあるんですか?」
「今日は、特にね・・・」
さて、ピーナッツを用意する部屋に来た。そこではリスたちが働いている。
「どうしてウンパルンパじゃないんですか」
「中身を壊さずに出せるのはリスだけなんでね」
中身のない、悪いナッツは、リスがたたいて確かめて、ゴミ箱いきだ。
「パパ。あのリス買ってちょうだい!」とベルカ。「訓練されたのが欲しいのよ!買ってよ!」
「いくらですか、ウォンカさん?」
「売り物じゃないんです」
「パパ!」と、ベルカ。
「いとしの娘よ、悪いがね」・・・と、これは工場長。
「じゃあ、自分で取に行くわ」と踏み出すベルカ、父親も、とめることもできない。
「近寄ると怒るから、近寄らないで!」
だが時遅く、ベルカはあっという間に全部のリスに取り囲まれた。
工場長は、見事な鍵の束から慌てて(いない?)鍵を探すが、みつからない。
リスの一匹がベルカの頭の中身が空っぽなのを確かめて、ゴミ箱行き!「腐ってるから!」
「あああ、ど、どこへ行くんですか」
「焼却場です。今日は、もしかしたらゴミを焼かない日かも知れない・・・いつも火曜日ですから」
「今日は火曜日だよ」と、マイク。
うぐ・・・と工場長。
「私が助けに行かねば」、と、タイミングよく、鍵が見つかった。父親は一歩を踏み出す。
「ゴミ箱ン中で、新しいおともだちもできるでしょう、わがままベルカ、誰がこんなにしたんでしょ、親ですね」と楽しそうなウンパルンパ。
父親も仲よくゴミ箱行き。
「ウォンカ工場長、焼却炉は今故障中です」と、ラッキーな知らせ。
「ああそうだ、エレベータがあったんだった、これで早く見学できる!」
と乗り込んだエレベーターはガラス張り。ボタンはやたらたくさんある。「これは、上下だけじゃない、横へも移動するんだ」
とんでもないスピードであっちやこっちへ移動するエレベーター。
「ここは秘書室・・・ここは人形たちの医療室・・・比較的新しいんだが」・・・・もちろん、先ほど火傷をした人形たちが運ばれてくる。
ピンクの羊の毛をかっている部屋も見えるが、なぜか工場長は語りたがらない。(ナゼだ?)
ウンパルンパたちが、お菓子を的に噴射している部屋がある。玉は花火のように、いろとりどりにはじける。
「お菓子なんか意味がないじゃないか」マイクはいつも、ウォンカが嫌がる発言をする。
「お菓子は意味なんかなくて、いいんだよ」これはチャーリー。
「IT’S STUPID ! 」
マイクのひとことは、ウィリー・ウォンカの父親の一言と同じだった。
「うちからチョコチョコレート屋なんか出させん」と言う父。
「僕は、いろんな国へいってチョコの研究をするよ」
「よし、行ってもいい。でももどってきても、私はもうここにいないからな」という父親の声をよそに、ウィリー・ウォンカは家を出た。・・・ところが、世界の国旗展示館は、もう閉館時間だった。
父親のその宣言どおり、家に戻ってくると、3階建てのウォンカ家の家は、そっくりそこだけなくなっていた。
「僕ボタン押していい?」とマイク。行く先はテレビの部屋。
「メガネをかけて。目に悪いですから」全員が、丸いめがねをかけて、真っ白な部屋へはいっていく。
そこで実験中なのは、チョコレートの、テレビの中への移動。大型のチョコレートをマシンにかけると・・・テレビの中に入る。運ばれる過程で、普通の大きさまでに小さくなってしまうのだ。しかも、テレビの中に手を入れて・・・そのチョコは取り出せるのである。(画面は2001年宇宙の旅・・・あの板は・・板チョコであったのだ)
「テレビを見ていて、ウォンカ印のチョコレートを食べてみたくなったら、味見が出来ますからね」
「とってごらん」とマイクに言うウィリー・ウォンカ。
「画面があるじゃないか」
さすがにウィリー・ウォンカも舌打ちし、「怖いんだろう。ほら、きみ」と、チャーリーを指名した。チャーリーが手を伸ばし、テレビの中からチョコレートを取り出した。
「すごいじゃない、テレポーテーションじゃないか!他のものは送らないの?」
「チョコを送る以外に、目的なんてないじゃないか」
「天才だとか言いながらアイデアなんかないんだ。でも僕はそうじゃないぞ。自分がはいって見せるさ!」父親がとめる暇もなく、自分自身をテレビに送り込んだマイク。
「無事に出てくるだろうか、ときどき半分しか出てこないことがあるから」と工場長。「ちょっちょっと、チャンネルをあちこち変えてみて。いないようだから」とウンパルンパにささやきかけた。
「あのー半分しか出てこないとしたら、どっちの部分がいいですかね」
「あんた、なんてこと聞くんだ!」と青くなる父親。
「いや、単なる質問ですよ」
あちこちチャンネルを変えて探すと、いたいた、小さくなったマイクが。父親がテレビに手を差し込んで、手のひらサイズになったマイクを取り出す。
「仕方ない、部屋へ送って、引き伸ばしてもらおう。」
ウグ・・・
さすがの工場長も、ちいさくなった人間は気持ち悪かったようだ。
テレビの部屋を出て、再びエレベーターへ向かう工場長と、チャーリーとグランパ。
「えーと、残った子供は何人だっけ」と工場長が振り向くと、
・・・・・
「ウォンカさん、チャーリーしか、残っていません。」
「君だけ?他の子どもたちはどうしたんだ? What’s happeninng for the others?
じゃあ・・・君だ、君が特別賞を受けるんだ! おめでとう」
「何があるの?」
「おどろく、いいことさ」
チャーリーをみつけた嬉しさの余り、閉まっていたドアに顔面をぶつけてしまった工場長は気を取り直し、
「では、このボタンを押そう」
それは、“up and out”
と書かれたボタンだった。「このときを、ずっと待っていたんだ」
スピードは上へ上へ、どんどん増す。「速く、もっと速く!じゃないと、足りないぞ!」 ついに、あの、長い煙突から飛び出したエレベーター!!
「ああ、落っこちる!」とグランパの心配をよそに、ボタンを押して噴射に切り替える工場長。
はるか下には、チョコだらけのアウグスト、ぐにゃぐにゃになった青いままのビオレット、ゴミだらけのベルカ・・・「パパ、あの透明なエレベーター買ってちょうだい!」「こら、エレベータじゃない、まずはシャワーだ!」(さすがにちょっとは怒ったパパ)、 やたらにひょろ長く背が高くなったマイクたちが、工場を出て行くところであった。
エレベーターはチャーリーのぼろ屋をさらに破壊して到着した。
「ママ、パパ、ウィリー・ウォンカさん」
「はじめまして、あなた方がチャーリーの・・・p・・・,p…..」
「parents?」
「そう・・・ママとダディですね、チャーリーの・・・」
「チャーリーは、勝者です。特別な特別な・・・私の工場をプレゼントするんです」
ぽかんとする全員。
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それは、今のアタラしい髪型にカットしてもらっているときのこと。
ウィリー・ウォンカ工場長は、落ちた髪の中に、1本の、白髪を見つけてしまったのだ。
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「私はこの仕事で大成功したが、年をとったら、この工場はどうなるのか。と思ったんだ」
「さあ、チャーリー、来たまえ、私と工場に住み込むんだ」
「住み込むって?僕? 家族も一緒にいっていいいよね?」
「いや、君だけだ」
「ええ、僕だけ?」
「そう、君だけが来るんだ。家族なんて仕事の邪魔だろう。考えてもご覧、私は家族なしで一生をこの仕事につぎ込んで、成功したんだからね」
「・・・・・・それなら行かない。僕はここに家族と残るよ」
ウグ。
「wao , そ、それは、予想してなかったな」it’s inexpected…..
「行きません」
「確かかね」
「ええ」
寂しげに、再びエレベータに乗ってウィリー・ウォンカ工場長は去った。ひとりで。
「なんだかいい方向にいってるじゃあない」とジョージアおばあさん。
そのとおり、父親はまた同じ工場で、機械を直すという、もっといい仕事をもらった。食卓に並ぶ品数も、うんと増えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帽子を脱いだおかっぱ頭のウィリー・ウォンカは、長いすに寝そべり、ウンパルンパに精神分析をしてもらっている。
「このごろ調子が悪いんだ!製造品もおいしくない。一体どうしたんだろう。・・・・そうか、私の精神状態が悪いから、私のインスピレーションから生まれるお菓子もおいしくないのか!いやア、君の分析はすばらしい」
ややひとりで解決したようだ。
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チャーリーは稼ぐ為に、靴磨きの仕事をしていた。
新聞を読みながら靴を磨いてもらっている紳士が「ウォなんとか・・・の売り上げがおちているらしいね。君はウォンカとか言うのを知っているかね」と話しかけた。
「はい、会いました。最初はいい人だと思ったんだけど・・・たいしてそうじゃなかた」
ところが、その紳士はウォンカ本人だった。
「どうしてここに来たの?」
「あれから、どうも調子が悪いんだ、私は!チャーリー。君が来ないとわかってからな。私はどうしたら、いいんだ? 君は、こんなとき、どうするんだ?」
「ぼくを助けてくれるのは、家族です」
「また家族か!」
「ウォンカさん、あなたは僕の家族に文句でもあるんですか?」
「違う違う、君の家族だからってことじゃないんだ。ただ、家族なんて、ああしろ、こうしろ、あれするなこれするな、ってうるさいばかりじゃないか」
「それは、あなたを守るためでしょう?」
「そんなこと尋ねられるものか・・・to my father? No!!」
家族・・・家族・・そんなもの・・・
そんなもの、・・・・・・いるんだけどずっと会ってないのだ・・・
「聞けるものか・・・いや、待て、君と一緒だったら・・・」
「ウォンカさん、僕と一緒だったら、会いに行ける?」
「それは、いいアイデアだ!」
というわけで、ウィリー・ウォンカは、長年会っていない、父親のアパートへ飛ぶことにした。路上駐車した透明のエレベーターに、またも顔面衝突しながら・・・
「どこにでも止めるのはよさないといけないな・・・」
雪の降る広野に、昔のままに、ぽつんと立っている3階だて。
「・・・住所を間違ったんじゃないかな」と、ウォンカは、心配しているが、心配どおり、間違いなくそこは父親のいるアパートだった。
少年のとき家を出て以来、会っていない父親。
「ドクター、緊急なんです、見てください」とチャーリー。
ともかくイスに寝かされて、口をあけるウィリー・ウォンカ。
チャーリーが壁に目をやると、そこにはウィリー・ウォンカの少年の時の写真。額も、スクラップブックも、ウォンカ工場の記事にあふれていた。
「ふーむ・・・どこが悪いのかな・・・こんな歯は・・・この具合は・・・・、久しぶりに見たぞ・・あれ以来・・・この歯は・・・」
「ウィリー?」
「・・・ハイ・・・ダディ・・・」
「あれからずっと、デンタルフロスなしでか・・・」
「一本も・・・」
どちらもためらいながら・・・・どちらも手袋をしたまま・・・ウィリー・ウォンカは、パパの胸に顔を埋めた。
そんなわけで、チャーリーには工場がプレゼントされた。
そして、ウィリー・ウォンカには、もっといいもの、家族ができた。
チャーリー一家は、家ごと、工場の中に引越ししてきたのだったから。
The
life is more
than sweeter
Fin おしまい