フランスの話

 あちこちの病院

フランスの医療  

 ・・・のおまけ話

リウマチ仏語無駄知識

 

フランスの医療について〜日本と違うことの数々

20049月記

分業制

薬について

診察料の話

 

看護人について・緊急・産科医・社会健康保険の仕組み・・・は「・・・のおまけ話」からどうぞ

 

 

分業制

基本的に医者が患者を診るには変わりない。大きな違いは「分かれておる」こと。

いろんなことが「ひたすら分かれている」傾向は、フランス全体の特徴でもある。例えば肉屋へ行くと、肉を注文したあと、肉ではなく、値段を書いたチケットを渡される。それを持って、レジへ払いにいく。支払ったら、先ほどの肉切り職人さんの所へ戻って、おもむろに肉を貰うのだ。昔は大型本屋もそうだったという。カフェなら、テーブルの担当さんが決まっていて、座った所のウエイターが忙しかったり、ぼけっとしている場合、他の担当さんは暇でも来てはくれない。旅行ガイドに良く書かれている事実。

 

さて、医者の場合。(大病院以外)まず、街中で開業しているのは、

 

個人開業・・・一般医、専門医、リハビリ師も・看護人屋

薬局・・・多い

ラボ・・・・血液尿検査などするところ・レントゲン屋など(妊娠中のエコグラフ、マモグラフィも)

病人用車屋(救急車みたいなもの。病院付ではないのだ。町から町への病人の移動なども担当)

     

予約を取って個人医のところへ行くと、医師しかいない。医者のキャビネ(小部屋の意味・・・トイレもキャビネ)には医者ひとりしかいないのだ。薬は、医者が処方箋を書くので、それをもって街中の薬局へ行って買う。注射が必要であれば、まず、処方箋に書かれているので薬局で注射を購入。看護人を予約し、注射をしてもらいに出かける。症状が悪く、検査が必要と医者が判断したら、レントゲンや血液検査の処方箋を書くので、それを持って、ラボかレントゲンの予約を取り、検査する(とび込みでも良い場合もある)。結果をもらい、医者の所へ戻る。一日でことが済むことは、まずない。5日かけてまわっているうちに、治っているか、死んでるかもしれない。

で、医者は2回分診察料を受け取ることになりますね。一粒で2度美味しい。

 

当日予約なしでも受け付ける医者もあるが、予約制が多い。こどももが熱を出したとき、子供専門医に見てもらいたいので予約を入れてみたら5日くらいあとだった。うぐ。

 

 

診察料

日本と一番違うは何か?初診料がないことだろう。一般医と専門医の区別がはっきりしている。あと、駆け込みがしにくい。

その代わり、国での基本料金が設定されている。公立病院がこの値段である。

個人開業の場合(所属だか、本人の希望により)そこへ自分個人の値段をプラスしている医者も多い。

ちなみに、一般医20ユーロ(長年115フランだったのを、ユーロとともに勝ち取った。)専門医は23ユーロ。(専門というのは、リウマチ医とか、内臓の医者とかのこと。精神科はもっと高い。)日本円にして、2500円〜3000円と言う感覚だろうか。高い、と思われるだろうが、お待ちあれ。

基本料金のうち、最終的に3分の一を患者が負担。3分の2を社会健康保険がカバーする。さらに加入自由の共済保険が多くあり、加入してる人は、負担した3分の1が戻ってくるので、月々の社会保険料(労働者すべて、給料からパーセンテージで引かれる)と、共済への払い捨ての額のみで、診察代は全額戻る、という勘定になる。

昔はいちいち医者へ全額払い、あとから請求、払い戻しだった。数年前、やっとカードが作られ、全額払わずに、3分の一払えば良いようになりつつある。このカードを読み取る機械は医者が買うので、高くて買っていない医者もあるが・・・。

 

ただし、医者は個人医として自分の料金を設定できる。たとえば公立で20ユーロのところを、30ユーロ請求する個人医もいる。その差額10ユーロは、基本料金オーバーだから、社会保険では払い戻しされない。高い医者はいくらでも高い。

 

完全にひとりだけでキャビネを持っている医者は、あまりいないかもしれない。たいていつるんでアパートを共同で借り、予約受付嬢を共同で雇う場合もあり、シェアしている感じである。だから、個人開業でも毎日いるわけではなくて、二人以上の医者が交代で使っていたりする。今はコンピューター付だ。いない日は、彼らは他の公立病院やクリニックに出没しているようだ。よくわからない。

 

なお、一般医は、何でも見る窓口、という感じ。小児科と一般、胃腸科と一般のかけもち、という医師もいる。広く、浅く。自分の手に負えないな、と思ったら、すぐに専門医へいけと言う。あるいは、紹介状(単なる紙いちまい)を書くだろう。自分ひとりで背負い込み、自爆する医師はあまりいないと思う。

 

このシステムの長所

検査結果を自分で管理できる。(血液検査は、医師宛と、患者宛の2部渡される。)

レントゲンも自分で保管できる。よって、いざというとき転院をしやすい

 

なお、入院の際の病院での検査結果は、もらったことがない。(レポートが送られます、と言われたが、請求し続けて、9ヶ月後に来た。)ただ、レントゲンに関しては「自分で持っててください。うちだと失くすかもしれませんから」と言われたことがある。

えーと・・・・ここはフランスだということだ。

 

フランスが便利そうなこと

たいてい予約制である。

よって、診察時間は比較的長い。(だから予約が遠くなるのさ・・・)ただし、待ち時間が必ずしも短いわけではない・・・。

初診料がない。

 

よって、いざというとき転院しやすい。

 

困ること

ひとりの医者の勤め先がいくつかあるので、連絡がつかず、飛込みができない。心理的にはきつい。携帯を教えてくれるほど甘くはない。秘書が予約をさばいている場合、そのハードルがかなり高い。そりゃ、多くの患者を抱えている医師の立場になってみたら、秘書が適度に予定を整えてくれる方が平和であり、なにより、きちんと仕事ができるはずだ。ま、こちらの気分の害し方は、秘書にもよるのだが。

 

日本では、3分治療が悩ましい。しかし、どこの医院へ行っても、看護婦がいて、レントゲンの器械もあり、血液、尿検査がその場でできる。料金も、点数計算がその場でなされ、必要な分だけ払う。薬もその場で調理、いや調合してくれる。しかも、きっかり日にち分だ。患者が自力で動き回らねばならないフランスの現状と比べると、サービスがとても良いのである。ひとつの場所で、多くの人が働いている。それもまた、すごいことなのである。

 

 

薬について

上に記したように、医者で処方箋をもらい、街中の薬局へ薬を買いに行く。日にち分を調合してくれるわけではなく、箱売りである。なお、薬の料金は、種類により、3割、6割、全額(処方箋なしでも、誰でも買える薬)負担である。

 

薬屋で買う薬は、誰でも買える市販の薬もあるし、処方箋がなければ買えない薬もある。リウマチの薬は、たいてい処方箋がいる。この種の薬は、社会保険があるので、個人で3分の一の負担である。(共済があれば、全額まかなえる。)これらの薬は箱入りだ。日本で買う市販の薬のような感じだろうか?4日間薬を飲め、といわれても、7日分入りの箱しかない場合、それを買う。残りはゴミ箱行きである。ソンである。余りを薬局へもっていけば、後進国へ送るとかも聞くが、ともかく量り売りはしてくれない。

ところで、意外な長点がある。薬の説明書である。

 

箱入りなので、使用上の注意が一緒についてくるのだ!!

 

よって副作用の例は出ているし、飲み方も書いてある。妊娠中使って良いかどうかも書いてある。(たいてい、医者に相談するのが前提ですが)もちろん、読まないと意味はない。

また、薬の辞典というものが市販されており、毎年更新されて、本屋で買える。かなり分厚く、それを家庭の必需品にしなければならないというものでもない我が家の場合、すなわちこの本はうちにないわけで、この使用上の注意が役に立つ。(たいてい使用上の注意が、本に掲載されているらしい)自分が何を口にしているかが分かる注意書きは、大事なものである。メトトレクサートだって、買うたび箱ごとに、付いてくる。よく読んでいれば、医者への質問もしやすいし、副作用の可能性があるかどうかもわかりやすい。私はこの注意書きで、フランス語が上達した。ホントか?

それに、どの説明書にも「いざというときは、飲むのをやめて薬屋か医者に聞け」、と書いてあるところが正直で良いではないの。便秘用シロップなんて、アラブ語でも書いてある。日本語の説明書にはまだお目にかかっていない。

・・・まあ、だからといって、気楽に他の人に飲ませてはならないのざんすが。

 

病院で点滴をする抗リウマチ剤のレミケードの場合も、注意書きの紙と、点滴の日にち、量を書き込む紙が渡されている。患者本人が、管理するのである。

 

日本でも、これくらいは実行していないだろうか?実行できないだろうか?実行してたらごめんなさい。でも、聞く話ではそうとは思えない。医者が説明してくれることより、コピーでも何でも書かれたものを渡してくれる方が、患者としては不安が少なくなると思うのだが。サイトを探せばそういうものが出てくる今日このごろだが、ずべての患者がネットしているわけでなし、どうにかならないものか。

 

薬に関しては、さまざまな日本の会社のサイトがある。まずは、お訪ねあれ。

個人では、お薬のお仕事をなさっている、よしこさんのHPがお勧めです。リンク集からどうぞ。

 

追記:他のページにも書いたが、のち、ほぼ毎日アパートに待機している一般医がいることもわかった。また、2005年より、家庭医を名指しで選ばなくてはならなくなった。変更はできるが、面倒である。良い医者を見つけてからだったので、ほっとしている。

 

フランスの話

 あちこちの病院

フランスの医療  

 ・・・のおまけ話

リウマチ仏語無駄知識

 

もくじへもどる

 

inserted by FC2 system