もうひとつのチョコレート工場

MEL STUART版 1971

 

 

「チャーリーとチョコレート工場」には、もうひとつ映画があります。メル・スチュアート監督による版です。

こちらもDVDを購入しました。色がとってもきれいです。

時代的に、キッチュなセットといわれても仕方ないですが、私としてはなかなか説得力があると思います。

もちろんティム・バートンとのリメイクと違いもあるし、共通のお話のまま、もあります。

双方、原作と違う所があるのもオツです。

 

バートン版では、原本の「リスによる胡桃の選択」を実現しています。50匹のリスを調教したとか。ベルーカも実際、リスにうわ〜っと襲われるシーン、迫力があります。怖かっただろうな〜

これが、メル版ではさすがに無理だったのか、ガチョウが産む、でかい金の卵になっています。金の卵の重さを測るはかりに乗ると、ベルーが「空っぽ」なので、ゴミ箱におっこちてしまうのです。(結果はおんなじ)

 

原作では、チャーリーは育ち盛りの男の子で、「毎日キャベツスープじゃいやだ!」と文句を言うような子。この点はメル・スチュアートによる版はそのままです。あと、なぜかお父さんが亡くなっていて、お母さんとチャーリーの細腕で、4人の老人を養っているのです(!!!!

愉快なのは、工場に行ったチャーリーも、つい、悪さをしてしまうこと。おじいさんと一緒に、ウォンカ工場長からは「飲むな」といわれたサイダーをついついナイショで味見してしまい、空中遊泳を体験します。げっぷをすれば、降りてこられるので、たいした被害はないのですが、これじゃ、他の子と大差ないです。そんなところが好きです。バートン版では、なんだかすごく良い子なんです。

 

メル・スチュアート版には、謎のおっさんが出てきます。工場見学をすることになった子供たちに、ひそひそと・・・ついチャーリーも・・・

だから、最後まで残ったチャーリーですが、ウォンカさんに、怒鳴られるんです。

でも、そこは正直なチャーリー。全てのものが半分というウォンカさんの事務所にて、無事仲直り、工場の跡継ぎと相成ります。

 

ウォンカさんも、こっちも変。普通に変?でもとっても変。うーん、でも漫画じゃない変さ。

 

ウンパルンパももちろん、とってもとっても変。これは衝撃的。(い、いろが・・・)特撮ではなく、背の低いタレントさん勢ぞろいです。病気のせいで成長しない人々は、西洋では?タレントさんによくみかけます。でも人数に限りあり、という感じ。(バートン版ではひとりの俳優さんをもとに、全部加工して、人数増え放題です。)ま、サイズはともかく、のいろが・・・子供心に夢に見てしまったとか、怖かった、という感想が多いのもわかるような気がします。

 

そして、ここでも常設の音楽が、素敵。ミュージカル映画のようだな、と思ってみていました。LESLIE BRICUSSE、レスリー・ブリカス(読みは?)の作曲。サウンドオブミュージックの映画のような。その頃このタイプの映画がはやっていたのかもしれない。よく出てくる曲は、ジャズのナンバーでもありました。いつか歌ってみたいと思います。もちろん、ウンパルンパご教訓の歌もきちんとあります。同じ曲、メロディテーマですが、少しずつ変えてあります。バートン版は、作曲家エルフマンが全部かえてつくっています。

 

迫力あるのは、わがままベルーカ嬢のシーンかしら。最初っから、わがままっぷりもすごいし、彼女の歌もすごいです。ホントに子供!?っていう迫力。フランス語版では、どうも、「大草原の小さな家」のローラの声優さんが担当しているような気がしてなりません。しかし、負けてます。

チャーリーは、ちょっと歌は下手なんだけど、あまりにも演技が良いから選ばれたのかなあ。

あの笑顔、悪さされても憎めないタイプ! ひとつ間違えると、甘やかされたわがままぼっちゃんになりかねないタイプだけど。全キャストの仏語吹き替えは、みな歌も上手です。 

 

ガム噛み噛み嬢ヴァイオレットも、いやな奴〜。特撮は、ブルーのライトを当てるところが泣かせます。アゥグスツスは、最初に、あっという間にいなくなってしまう、なんだか、どっちでも滞在時間が短い。チョコレートにおぼれるという、かなり怖い体験をするのに。

マイク・ティーヴィーのシーンは、バートン版は、最初の映画をそのまま尊重したように見受けました。

 

原作でもすでに日本が出てきていました。メル版の日本も、なんかいい感じ。時代を感じて。

原作では、チャーリー以外、両親そろって工場見学ですが、メル版でもバートン版でも、つきそいはひとりずつ。ただヴァイオレットとマイクは、父親・母親入れ替わってました。

原作と、バートン版は、最後に消えちゃった子供たちが再登場します。メル版では登場しません。

 

そして、空に漂う素敵なエレベーターで終わります。

結果として、原作に忠実な仕上がりだと思います。主役はあくまでチャーリーなのです。

 

バートン版の場合、主役はむしろウォンカ工場長でしょう。(なにせジョニー・デップだし (^_^;)

対比が好きそうなバートン監督のことだから、とすると、

 

●ウォンカ工場長と、澄んだ、清いチャーリーとの対比

 

かな? そう、チャーリーは「素直な子供」、しかも、えらく良い子。今どきおらん? つまり、ウォンカ工場長は、「大人」なんです。ものごと、冷たい目で良く見ていて、わかっていて、その生き方は、独身を貫く社長として、はっきりしています。その冷たい目は、妙な育ち方をした残りの子供たちに、突き刺さっています。ウォンカ工場長がさがしていたのは、まさしくチャーリーのような、素直な子供なんですから。

 

おっと・・・きりがないのでやめておきましょう。

DVDまであと少し、日本はもう販売してます!

 

2006年2月4日改定。

 

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fin

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